私の周りの釣り人は酒好きが多い。
酒と釣りの相性は良いのだろう。
私が酒が美味しいと思える瞬間は秋口の釣行、朝日が昇る前から車で2時間かけてエギングのポイントへ行き、暑い中一日中しゃくり続けてクタクタになって帰宅。
釣り道具を洗い、風呂に入って一日釣行の汗を流す。
そして、カラカラに乾いた身体に、釣りあげたアオリイカの刺身をつまみにビールを喉に流し込む。
これは最高に気持ちいい。
また、真夏の船上でのジギング。
朝マヅメも終わり落ち着いたころ、太陽は真上に差し掛かっている。
竿を置き、クーラーボックスからサッポロ一番黒ラベルを取り出す。「プシュ」と開栓。
真っ青の空に、遠くにみえる入道雲を眺めながら腰に手をあてて一気。
朝マヅメに失敗し、魚なんか釣れなくても今日はいい一日だと感じる......
私はビール党。

渓流釣りには日本酒が似合う。
釣れた魚をその場で捌き、焚火を焚いて。
その土地の地酒をチビチビと飲みながら魚を味わう。
渓流釣り未経験の私は、そんな釣行に憧れる。
メモリアルフィッシュ
とある釣り人の話だが、渡船で石鯛釣りへ磯に上がった。
その日は何組かその磯へ上がったそうだ。
石鯛釣りは一日釣りをして、アタリがあれば御の字。
釣れるどころか、アタリがないのが当たり前。
その日、当たり前のようにアタリもなく時間が過ぎていったそうだ。
ふと、となりの釣り人の竿を見ると、竿が満月になって格闘している。
石鯛だ、しかもかなり大型の。
どうも一人では取り込めそうになさそうなサイズをかけている。
すかさず、満月になった竿の下へ潜り込み取り込みを手伝う。
二人がかりでやっとのことで石鯛を釣り上げた。
縞模様のとれた大型の魚体。
石鯛をかけたとなりの釣り人をみてみると、涙を流している。
理由を聞くと磯に通って数年、初めて石鯛を釣ったようだ。
クーラーボックスからビールを取り出し、涙を流している釣り人にそっと渡した。
おそらく、石鯛をかけた釣り人にとって一生忘れられないメモリアルフィッシュ。
その日飲んだビールの銘柄を見るたびに、思い出すだろう。
